江戸川大学では、3年次に所属したゼミナールで専門研究を行い、4年次には卒業論文を執筆します。各ゼミの指導教員は卒業論文のうち優秀な論文を優秀論文として推薦します。優秀論文発表会では、優秀論文を執筆した学生がプレゼンテーションを行い、最も優秀な論文が選考されます。

2025年度 優秀論文

最優秀論文
「日本サッカー界の育成年代における「移籍」の是非について ――学校と部活動の分離と世界レベルの育成を目指して――」
小野 誉丈さん(野上ゼミ)

〈論文概要〉
本研究は、日本サッカーにおける育成世代、特に中学・高校生世代の構造的な課題を分析し、学校を含めたチームの移籍制度について検証することを目的としたものである。移籍経験のある現役プロサッカー選手にインタビューを行い、移籍の役割や意義を考察した結果、移籍がもたらすメリットを最大限に引き出すため、学校と部活動を分離し一般社団法人化を図る構造改革と、選手の主体性維持と安定性の確保を目指す制度設計を提唱した。

〈選考のポイント〉
執筆者の経験と日本サッカーの発展を願う強い思いを反映し、学校教育における部活動の構造的な問題の解決が教育面やビジネス面の活性化に寄与する、という多角的な考察に至っている。スライドの創意工夫や明確な発表構成、情熱溢れる充実した内容もあいまって、最優秀賞に相応しい、非常に優れた論文であると高く評価できる。


優秀論文
「千葉県茂原市における隧道の価値と観光利用への可能性」
新田 瑠さん(中島慶二ゼミ)

〈論文概要〉
本研究は、千葉県茂原市の隧道を対象に、これらの価値を見出し観光へ活用するにはどうしていけば良いか、という問いについて考察した。隧道の現状を実地調査し、観光利用に必要な要素についての分析を行った。その結果、歴史的な価値および地形との関連など優れた価値を有し、高いポテンシャルを持っていることが明らかになった。反面、安全面の確保など、行政による関与を強め、観光資源として生かすことが必要であると結論付けた。

〈選考のポイント〉
執筆者は千葉県内の隧道や切通に興味を抱いたことをきっかけとして、茂原市の隧道の観光価値について着目したうえで丹念な現地調査を行った。インフラツーリズムにも通じる価値の高い研究であり、これらの隧道の価値を独自で見出した点が高く評価できる。安全性確保や、行政関与の必要性についても大変有為な提言である。


特別賞
「多文化共生としての地域日本語教室 ――地域日本語教室を舞台とした学習者とボランティアの相互行為――」
齊藤 青波さん(川瀬ゼミ)

〈論文概要〉
本研究は、筆者自身による地域日本語教室ボランティアのフィールドワーク経験に基づき、地域日本語教室が日本人ボランティアと在日外国人学習者との交流の場として社会的・文化的意義を文化人類学的視点から明らかにすることを目的としたものである。参与観察と聞き取りの結果、支援と学びなどを通じて双方が相互に影響を与えながら関係を築いていることが明らかとなり、人と環境が関連する多元的な場として機能していることを示した。

〈選考のポイント〉
執筆者のボランティア経験に基づく緻密な研究成果が実った、非常に優れた論文である。地域日本語教室において、外国人住民と地域住民との交流が語学習得にとどまらず、幅広い異文化交流へと発展していることを示した興味深い調査研究となっており、国際化が進む地域社会および現代社会を知るうえで価値ある研究である。