「平凡な日常」の中に生きる、伝承と変化を探る。

阿南透先生によるガイドで、寒川神社(神奈川県)御神門の「迎春神話ねぶた」を視察。フィールドワークを通して神社仏閣や祭りの背景にあるストーリーが見えてくる。

私たちが何気なく過ごす毎日に、研究テーマを発見!日々の暮らしと社会の変化を調べ、たどり、考えます。


民俗学は、地域の習慣や生活様式、祭礼、妖怪といった、人々の暮らしに受け継がれてきた文化の研究を得意としています。これらは“古き良き伝統文化”などと紹介されがちですが、決して過去のものではありません。さまざまに変化しながら、現在の暮らしの中に生き続けているのです。
本ゼミナールでは、主に戦後~高度成長期~現代に至る生活の変化をたどり、私たちの生活や考え方の中にある“生きた伝統文化”を探究します。「コロナ禍の生活」「令和大礼」「アニメ聖地巡礼」「妖怪とまちおこし」「テーマパーク」「祭りとイベント」「就活祈願」など、自らが興味を持ったこと、発見したテーマを掘り下げていく学びが魅力。文献、マスメディアやネット、行政資料などから情報を集め、フィールドワークでたくさんの人に会って話を聞いたり、街や暮らしを観察したり。そうした「質的調査」から、日常の中にある文化とその変化について考えます。

阿南 透 先生
日常生活を学問にするためには、身の回りのことに対して「なぜ?」という疑問を持ち続けることが大事です。その疑問を深く追究していくための手段が民俗学です。

Student Interview

人々の暮らしのすぐ側で今と昔が混ざり合うまちなみを調査。


「小江戸のまち」として知られる川越(埼玉県)で、建物の調査を中心としたフィールドワークを行いました。黒漆喰の壁や重厚な瓦屋根が特徴的な「蔵造り」の商家が建てられたのは、江戸・明治の頃。それから大正、昭和を経て現在まで、歴史を受け継ぎつつ新しい時代の建物が混ざり合うまちなみは魅力的です。昔と現在を比較し、その中で伝承されてきたもの・変容してきたものを捉え、解釈するところに民俗学のおもしろさを感じています。