江戸川大学では、3年次に所属したゼミナールで専門研究を行い、4年次には卒業論文を執筆します。各ゼミの指導教員は卒業論文のうち優秀な論文を優秀論文として推薦します。優秀論文発表会では、優秀論文を執筆した学生がプレゼンテーションを行い、最も優秀な論文が選考されます。

2021年度 優秀論文

最優秀論文
「若者が旅に求める要素について――観光業界におけるリベンジ消費の可能性と提案」
小栗 淑子さん(崎本ゼミ)

〈論文概要〉
旅行者の意向調査は複数あるが、若者に絞ったものは少ない。そこで本研究では、若者が旅に対しどのような欲求をもっているか、また若者を引き付ける要素は何かについて江戸川大生を対象として調査して考察した。その結果、国内旅行においてリベンジ消費(コロナ禍以前よりも多く消費や行動をする現象)の可能性があること、そして若者が旅に食と休息を求めており、具体的な消費促進策として食べ歩きが有効で、写真映えするコンテンツが有効であることがわかった。
〈選考のポイント〉
コロナ禍において、「Go to Travel」「 国内旅行」という視点で研究条件を整理した点も含めて、アンケート調査で成し得る議論として高く評価できる。またスライドが大変見やすく、丁寧に時間をかけてつくられたプレゼンテーション資料を背景に、議論の展開がわかりやすかった。


優秀論文
「道の駅しもつまの活性化策――地元の小学生とのステンドグラス作成」
塚本 紗稀さん(大塚ゼミ)

〈論文概要〉
下妻市の関係人口を増やすための活動として、騰波ノ江(とばのえ)小学校と「道の駅しもつま」と下妻市との連携で実施されたステンドグラス制作を通して、地域の活性化について考察した。国土交通省主催の「道の駅」学生コンテストで提案し奨励賞をいただいたステンドグラス制作を実現してみてわかったのは、地域のイメージ向上と関係者間の連携強化が期待されていることだった。道の駅で展示公開された後、ステンドグラスの枠組みは道の駅に残され、写真や絵の展示へ利用することで、地域活性化へ向けた持続した活動の資源となった。 
〈選考のポイント〉
アクション・リサーチとしての性格をもった実践だけでなく、それを研究として一つのかたちに残した点が高く評価された。道の駅の現状分析という基礎研究と、道の駅をパブリックスペースとして考え、地域の人たちを巻き込んた愛着のある場所としての運用という応用研究との統合が期待されるが、何より地域への愛情が感じられる研究だった。


特別賞
「北海道日本ハムファイターズの新球場移転に関する考察」
早川 ももさん(広岡ゼミ)

〈論文概要〉
北海道日本ハムファイターズの本拠地が札幌ドームから北広島市の新球場に移転することを受けて、ファイターズファンを対象としたネットアンケート調査と、北海道日本ハムファイターズ統括本部長吉村浩氏へのインタビュー調査を行い、新球場移転の是非について検討した。その結果、ファン人当たりの観戦回数が増加し、それに伴うチケット収入や飲食収入、グッズ収入などの増加が推測されること、そしてこれと連動した球場周辺の観光地化によって、新球場移転後には観客動員数が増える可能性の高いことがわかった。
〈選考のポイント〉
北海道日本ハムファイターズの二軍の本拠地兼練習施設が千葉県鎌ヶ谷市にあることからはじめて、新球場開設に向けた現状の課題や今後の方向性について、ア ンケートやインタビューから細かく分析し、丁寧に考察している点が良かった。また確信にせまる中心的人物へのインタビューを実現させたところが評価される。