江戸川大学では、3年次に所属したゼミナールで専門研究を行い、4年次には卒業論文を執筆します。各ゼミの指導教員は卒業論文のうち優秀な論文を優秀論文として推薦します。優秀論文発表会では、優秀論文を執筆した学生がプレゼンテーションを行い、最も優秀な論文が選考されます。

2020年度 優秀論文

最優秀論文
「共感と気まぐれの贈与-クラウドファンディングの支援における「交換の枠組み」と「アナキズム的可能性」」
三枝 哲也さん(川瀬 由高ゼミ)

<論文概要>
優秀論文発表会における9名の研究発表は、「発表(説得力があるか)、スライド・配布資料(わかりやすいか)、オリジナリティ(独創的か)、構成(論理的か)、結論(妥当か)」という5つの評価基準および「総合評価」で評価され、その集計の結果、最優秀論文が選出された。
この論文は、近年注目を集めているクラウドファンディングについて、経済人類学の視点から考察したものである。先行研究および著者自身によるオンライン調査のデータをもとに、既存の資金調達手段や購買行動(頼母子講、ネット通販、寄付)といった諸実践との類似と差異が丁寧に検討され、クラウドファンディングにおける「応援購入」が、単なる贈り物(贈与交換)にも商品の売買(市場交換)にも還元されえない性質のものであることが、説得的に示されている。
発表会では、論文の完成度の高さが評価され、総合評価での最高点を獲得した。各評価項目でも好成績を収めており、とりわけ、配布資料や発表スライドのデザイン面の工夫や、オンライン調査によるデータ収集の手法、文化人類学の理論を用いた分析などが、高く評価された。