江戸川大学では、3年次に所属したゼミナールで専門研究を行い、4年次には卒業論文を執筆します。各ゼミの指導教員は卒業論文のうち優秀な論文を優秀論文として推薦します。優秀論文発表会では、優秀論文を執筆した学生がプレゼンテーションを行います。

2021年度 優秀論文

「言語化によって変わる日本サッカー」
青木 力さん

<論文の概要>
サッカーの試合で、一つのプレーは流れの中の一瞬に過ぎない。そんな一瞬に名前を付けるのが言語化であり、言語化によって選手たちは、無意識の動きをプレーとして意識するようになる。1993年のJリーグ発足を機に強化を進めた日本代表の足跡を追うと、そこには外国人監督によるプレーの言語化の歴史があった。本論文は、歴代監督が言語化したプレーが、新しい概念として報道陣やファンにも浸透したことを実証。競技力だけでなく、観戦リテラシーも高めたことを論じた。

<評価のポイント>
プレーの言語化という興味深い概念を、ジャーナリズムの枠で捉えて分かりやすく論文にした。言語学的視点から知覚などに言及した先行研究とは一線を画し、ジャーナリストやファンの観戦リテラシーという新たな切り口を持ち込んだ意欲は高く評価できる。

「言語化によって変わる日本サッカー」要約

「アートプロジェクトによる地域活性化事業に関する考察 ~ 災害や感染症等の非常事態下における瀬戸内国際芸術祭の在り方とは ~」
秋山 詠美さん

<論文の概要>
瀬戸内国際芸術祭を題材に、地域活性化手段として活用される多様なアートプロジェクトの比較を通して、特に非常事態下における芸術祭の取るべき対応策について分析・考察した。今後も災害や被害等の非常事態は起きうる。地域特性や魅力を発信するアートプロジェクトは、非常事態下においては、被災状況の理解や復興支援のための精神的な支柱となる。鑑賞者の感情や感覚に訴求できる機能と役割も持つアートは有用なツールと言える。

<評価のポイント>
明確な研究テーマと課題の設定。自らの経験と数多くの文献から導き出した仮説検証のための調査項目。専門書と先行研究、豊富な事例を高い問題意識から常に批判的な目で分析した姿勢は高く評価できる。アートプロジェクトを危機管理対応の視点から捉え直し、今後の芸術祭のあるべき対応策を提言した独自性も高く評価できる。

「アートプロジェクトによる地域活性化事業に関する考察 ~ 災害や感染症等の非常事態下における瀬戸内国際芸術祭の在り方とは ~」要約