佐藤 俊彦

人間心理学科 教授
博士(文学)

千葉県の総武線沿線で生まれ育ちました。大学生、大学院生のときは宮城県で過ごし、その後、大学の研究員や教員として、宮城県、青森県、長野県といった、わりと涼しいところで長らく過ごしてまいりました。久しぶりに千葉県に帰ってきましたけれども、千葉の気候は、やはり暖かいですね。学生時代から、心理学(実験心理学、睡眠学、および行動神経科学)を専門としながら、研究を続けてまいりました。

研究分野:心理学
専門分野:実験心理学


心理学の中でも、「実験」という研究の手法を取り入れた分野が、実験心理学です。心や行動のさまざまな問題を取り上げて、仮説を検証するための実験を行います。実験室を利用して、照明や音響、温度や湿度などの室内環境を厳密に調節することもありますし、学外のフィールド、もしくは日常生活の場面の中で、簡易な計測装置などを運び込んで、実験を行う場合もあります。人間の心理や行動を規定している要因を明らかにする上では、実験という手法は、とても重要です。

専門分野の魅力・学ぶ上で大事なこと


私自身、心理学から多くのことを、楽しみながら学んでまいりました。これまでの人生で、心理学を専攻してきたことを幸運だと思っております。心理学を学んでいて、とても楽しいと感じることが多いのは、心理学の問題には、自らの生活と何らかの関連があることが多いためではないかと思います。例えば、「大事な試験のときに緊張しすぎないようにするにはどうすればよいか?」、「心配ごとがあって眠れないときにどうすればよいか?」といった問題は、心理学の研究課題でもあって、心理学の中で研究されてきた、緊張緩和のための技法を学ぶことで、これらの問題への対応方法が見えてくると思います。授業で教えてもらった、興味のあるテーマについて、専門書などを読んで、さらに掘り下げて調べていくと、楽しさもどんどん高まってくると思います。

研究テーマ


人間の睡眠と覚醒、感情や動機づけ、心理的ストレス、創造性、注意(不注意)といった心理学的な問題を取り上げて、実験や質問紙調査によって研究を進めてまいりました。脳波やポリグラフといった身体活動の計測も合わせて行いながら、心身の機能の関連性についても調べております。例えば、「睡眠」と聞くと、「意識、ないし心の働きが停止した状態」と思われるかもしれませんけれども、睡眠中であっても、脳は一定の活動を続けていますし、睡眠中の脳波活動を調べることで、その夜の睡眠の内容について、さまざまな情報を得ることができます。寝不足のときのことを考えていただければおわかりだと思いますが、どのような睡眠をとったかによって、翌日の脳活動や心の働きも変わってきます。また、寝る前の感情の状態や、心身の緊張や興奮の状態によって、その後の睡眠に影響が出てまいります。睡眠の内容がどのような心理的要因によって影響を受けるか、また、睡眠の内容が、その後の心理的活動にどのような影響を与えるかといった基礎研究とともに、睡眠を改善するための応用研究も同時に行っていきたいと思います。

最近の研究活動


ここ2、3年は、コロナ禍の影響もあって、質問紙調査の研究が比較的多かったですけれども、睡眠については、例えば、心理的ストレスや感情の問題との関連に着目して、実験と調査の研究を進めてまいりました。また、他大学との共同研究も含めて、実験動物を使用して、情動や学習に関連した実験研究も行っております。心理学の歴史にも興味があり、最近は、米国の心理学者William Jamesの感情学説について、文献的な研究を行っております。地域での取り組みとしては、「すいみんカフェ」という名称で、睡眠の健康教育のための地域活動も行っております。

担当科目


心理学概論A、心理学実験II、精神生理学、睡眠の生理心理学、外国書講読、基礎ゼミナールA・B、専門ゼミナールⅠ、人間心理学特殊講義(オムニバス科目)

趣味


下手ですが、泳ぐのが好きです。それと、ふだん、趣味としての読書の時間はあまりとれないのですが、歴史の本を読むのが好きです。大学1年生のとき、文学部に所属していたのですが、心理学と歴史のどちらを専攻するかという選択で、ものすごく悩みました。結論として、専攻する学問は心理学として、歴史のほうは趣味で勉強するという妥協案に落ち着きました。同じ心理学でも、臨床心理学など、専門外の本を読んで勉強するのも好きです(残念ながら、あまり読む時間がないのですが・・・)。