2025.12.16

佐藤秀樹准教授
社会学部現代社会学科の佐藤秀樹准教授(専門分野:環境教育、環境社会活動、農業・農村開発協力)が、認定NPO法人開発教育協会が発行する『開発教育』(第72号)に寄稿しました。寄稿文のテーマは「生活に根ざす開発教育を求めて:大学教育におけるフィールドワークを活かした授業実践の試み」です。
本論文では、大学教育において地域フィールドワークを取り入れることで、環境問題や国際課題に対する学生の学びが、知識の習得にとどまらず、自らの生活や価値観を問い直す学びへと発展していく過程を考察しています。千葉県習志野市の谷津干潟や利根運河、埼玉県飯能市でのエコツーリズムなどの授業実践を通して、学生が地域の人々や自然環境との対話を重ねながら、社会や環境の課題を「自分ごと」として捉えていくプロセスが示されています。
さらに、学生にとってこうした体験型の学びが、「遠い世界の問題を知る教育」から「足元の生活から世界を問い直す教育」へと転換していくことを明らかにしています。学生が体験を通じて問いを立て、内省を深め、行動へとつなげていく変容プロセスを整理するとともに、大学教育における開発教育の新たな可能性と、地域と連携した教育実践の意義を示しました。あわせて、持続可能な社会を担う主体を育成するための大学教育のあり方を具体的に提示しています。