2025.07.03
山本隆一郎 教授
社会学部人間心理学科の山本隆一郎教授(専門分野:臨床心理学、睡眠学)がゼミ生と共に行った研究の成果が、日本睡眠環境学会発行の『睡眠と環境』第19巻1号(2025年6月30日(月)発行)に掲載されました。
本論文は、2024年度卒業生の石井生海さんが山本教授の指導のもと卒業研究として実施した研究成果であり、子守唄の歌いかけと子どもの睡眠問題との関連について検討しています。
Web調査の結果、子守唄を歌っている家庭では、養育者が子どもの睡眠問題を「あり」と判断していることが多いことが分かりました。
◼︎山本隆一郎教授のコメント
子どもの寝かしつけに頭を悩ませている養育者の方は少なくないのではないでしょうか?寝かしつけのために、音楽をかけたり、子守唄を歌ってあげたりしているご家庭も少なくないでしょう。しかし、それって本当に効果があるのか?というゼミ生とのディスカッションが本研究のきっかけでした。
結果は、必ずしも効果的ではないかもしれないとも読み取れますが、一時点の調査の結果ではなんとも言えません。睡眠問題があるから子守唄を歌うという方略をとるという逆の因果が存在したり、子守唄を歌っている養育者は子どもの睡眠の様子を細かく見ていて些細な変化が気になりやすいのかもしれません。さらなる交絡の調整や縦断的なデザインの検討が望まれます。
今後もさまざまな視点から、より良い睡眠に関わる因子の検討、よい睡眠のための支援、支援システム作りに関するシーズにつながる研究や、ニーズに応える研究を進めていきたいと思います。
ちなみに余談ですが、子守唄=子どもを寝かしつける「ため」の唄と思っている方も少なくないのではないでしょうか?実は子守唄には、子守りの労働歌としての出自もあるとされています。別の視点からみるとまた違った機能や意味が見えてくるかもしれません。