2025.08.05
社会学部人間心理学科の長峯聖人講師(専門分野:社会心理学)らの共著論文「Do momentary phenomena evoke mixed emotions?」が、Wileyが発行する『Asian Journal of Social Psychology』(第28巻第3号)に掲載されました。
本論文では、日本人を対象に一瞬で過ぎ去る(刹那的である)ということが、混合感情の喚起に与える影響について検討しました。混合感情とは、ポジティブな要素とネガティブな要素が入り混じった感情であり、日本を含む東洋圏において見られやすい感情体験であることが分かっています。本研究では、日本文化を代表する花火に特徴づけられるような、一瞬で消えてしまうような刺激に触れた際に、混合感情がどのように生起するかを初めて検証しました。
予備調査および3つの実験の結果、(1)刹那的であるという特徴を持つ刺激は、混合感情を喚起する。(2)刹那的であることに加え、脆弱であることも混合感情を喚起し、両者が組み合わさった時に最も強い混合感情が経験される。(3)刹那性および脆弱性が混合感情を喚起させるプロセスにおいて、終わり(終焉)に対する意識の活性化が媒介要因となる。の3つの知見が明らかになりました。
本研究の結果は、これまで十分に検討されてこなかった日本文化的な風流さや、それに伴う感情体験に関する実証的示唆を提供するものであり、混合感情の生起機序について新たな観点を提示するものです。
長峯 聖人 講師