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2026.08.28

人間心理学科・河内建助教らの共著論文が査読付き学術誌『Frontiers in Cognition』に掲載

河内 建 助教

社会学部人間心理学科の河内建助教(専門分野:実験心理学)らによる共著論文「Dyadic interaction enhances sensitivity and shifts decision criterion in a change detection task」が査読付き学術誌『Frontiers in Cognition』に掲載されました。

本論文は、画像内の変化を見つける変化検出課題を用い、ペアで判断を行うことが変化検出のパフォーマンスにどのような影響を与えるかを、変化を検出する能力である「感度」と判断のバイアスを表す「判断基準」の観点から検討したものです。

本研究では、自然風景画像を用いた変化検出課題(一部が異なる2枚の画像を短い間隔で交互に提示し、どこが異なるかを見つける課題)を実施しました。実験では、参加者がまず個別に変化の有無について判断し、確信度(判断に対する自信の程度)を評価した後、ペアで話し合い、共同で変化の有無の判断と確信度の評価を行いました。分析では、ペアによる判断成績を、各ペア内で成績の良かった個人の判断成績と比較しました。また、追加実験として、社会的な相互作用がない状態で時間をおいて2回判断を行う実験を行い、単に判断を2回繰り返すこと自体が「感度」や「判断基準」に与える影響についても検討しました。

実験の結果、ペアで判断を行うことで、ペア内で成績が優れていた個人と比べても、視覚的な変化を検出する「感度」が有意に向上することが明らかになりました。また、判断基準が、変化が「ある」と答えやすい方向へとシフトし、変化の見落としを減らす傾向を示しました。一方で、他者とのコミュニケーションがない追加実験では、1回目と2回目の判断の間で感度や判断基準に違いが見られなかったことから、これらの向上やシフトは、単に判断を2回行ったためではなく、2人による相互作用(dyadic interaction)によってもたらされたことが確認されました。

これまで、個人の注意や知覚の限界に起因すると考えられてきた変化検出のパフォーマンスに対し、本研究は、ペアによる共同意思決定が変化の検出感度を高めるだけでなく、見落としを防ぐ方向へと判断基準を調整することを明らかにしました。この成果は、空港の手荷物検査や安全監視業務など、変化の見落としが重大な事故につながる可能性のある実社会の現場において、エラーを低減するための有効な手立てを示す意義深い知見といえます。