2025.10.21
崎本武志 教授
社会学部現代社会学科の崎本武志教授(観光学ゼミナール)が、一般財団法人国際観光サービスセンター(ITCJ)発行・日本政府観光局(JNTO)監修の月刊誌『国際観光情報』2025年8月号に、日本国際観光学会会長として巻頭言を寄稿しました。
寄稿文の中で崎本教授は、福岡県朝倉市の原鶴温泉を訪れた際の経験を紹介しています。かつて団体客で賑わっていた同温泉地は一時期衰退したものの、「あさくらの三連水車」や「白壁の街並み」などの観光資源を有し、近年では若年層の個人旅行客が訪れる隠れた人気スポットになっていると述べています。さらに、宿泊施設で活躍する韓国やベトナム出身のスタッフが「家族やふるさとの友達が泊まりに来てくれることもあるんですよ」と語るなど、地域に新しい活気が生まれている様子を伝えています。
また、気仙沼市役所観光課や気仙沼観光協会、日本国際観光学会の関係者らと行ったシンポジウムとその後の交流を通じて、地域の交流人口や関係人口の拡大に関する活発な意見交換が行われたことを紹介。これを契機として、人口減少対策の一環として地元観光業の発展や女性の雇用創出を目的に、気仙沼市と日本国際観光学会との間で相互連携協定が締結されることになったと述べています。
これらの事例を踏まえ、崎本教授は、インバウンド振興を経済効果や消費額の増加といった高付加価値化ばかりで考えるのではなく、「定住人口や関係人口の増加、限界集落化防止など、「地域とつながるインバウンド振興」として多角的な視点から採用する価値があるのではないか」と提言しています。