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2024.03.29

人間心理学科・石橋美香子講師らの論文が『Developmental Science』誌に掲載

大阪大学大学院人間科学研究科の萩原広道助教、江戸川大学社会学部人間心理学科の石橋美香子講師、京都大学大学院文学研究科の森口佑介准教授、東京大学大学院教育学研究科の新屋裕太特任助教らの研究グループは、幼児に特有の行動である「スケールエラー」が、発達のどの時期にどのくらい生起するのかを、大規模データを用いて世界で初めて明らかにしました。さらに、スケールエラーとの関連が指摘されていた言語発達について、動詞や形容詞の習得が特にスケールエラーの生起と密接に関わっている可能性を発見しました。

本研究成果は、3月29日(金)14時(日本時間)に、発達科学誌『Developmental Science』に掲載されました(オンライン)。

スケールエラー現象は、1・2歳頃の子どもが非常に小さな物体に自分の体を当てはめようとする現象であり、世界的に権威ある雑誌の一つである『Science』誌に2004年に初めて報告されました。しかしながら、観察された子どもの行動には、スケールエラーを示す子どもと示さない子どもが報告されており、観察時にたまたまスケールエラーを示さなかっただけなのか、子どもがもともとスケールエラーを示さないためにスケールエラーが見られなかったのかが不明でした。本研究では、スケールエラーを示さなかった「ゼロ」のデータに着目し、生態学などの分野でよく用いられるゼロ過剰ポアソン・モデル(ZIPモデル)をスケールエラーのデータに適用し、上記課題に取り組みました。

研究にあたり、世界中のスケールエラー研究者よりデータ提供の協力を得て、これまでのスケールエラー研究の中でも最も規模の大きい解析を行いました。その結果、観察環境によってスケールエラーが見られるピーク時期が異なること、そして子どもの語彙の発達的変化が、スケールエラーをするかどうかに変化をもたらすことが明らかになりました。これらの結果は、子どものスケールエラーの生起は月齢とともに単純に増減するのではなく、語彙などの認知発達によって非線形な発達曲線をたどることをつきとめた革新的な結果となります。

詳細は共同プレスリリースをご覧ください。

大阪大学、江戸川大学の共同プレスリリース『Developmental Science』のWebページ

石橋美香子 講師