2018.05.24
清水一彦教授
メディアコミュニケーション学部マス・コミュニケーション学科の清水一彦教授(新聞出版・文章力領域)が翻訳を担当した『フローと再帰性の社会学 記号と空間の経済』(スコット・ラッシュ、ジョン・アーリ著)が出版されました。
本書は、「フロー」と「再帰性」という、現代社会の二つの構造化原理に焦点を当てながら、多様な経済・社会現象について解明することを目的としています。とりわけ、情報コミュニケーション構造や記号のフローを媒介にした美的再帰性に着目し、主に先進資本主義社会である北大西洋沿岸地域の国々の経済構造を分析しています。
清水教授は、第 II 部 4 章、5 章、12 章の翻訳を担当しています。
<目次>
1 イントロダクション─組織化資本主義の後に
第 I 部 客体と主体の経済
2 移動する客体
一節 空白化─主体、空間―時間、客体
二節 資本主義の空間的制度─新たな中核
三節 中核と周辺
3 再帰的主体
一節 再帰的近代化─リスク社会
二節 ギデンズ─近代の自己再帰性
三節 身体と分類
四節 自己の源泉─寓話の使用
五節 美的再帰性と時間―空間
第 II 部 記号およびその他の経済
4 再帰的蓄積─情報構造と生産システム
一節 集合的再帰性─日本型生産システム
二節 実践的再帰性─ドイツ型生産システム
三節 言説的再帰性─情報に満ちた生産システム
四節 結 論
5 集積する記号─文化産業
一節 フレキシブルな生産─脱統合した企業
二節 フレキシビリティの限界─訓練、資金調達、流通
三節 再帰的客体
四節 結 論
6 統治できない空間─アンダークラスと逼迫したゲットー
一節 アメリカのアンダークラス
二節 ヨーロッパのアンダークラス
三節 分極化─貧困層と専門職
四節 空間をめぐる政治とアンダークラスの形成
7 移動する主体─移民の国際比較
一節 組織化資本主義後の移民
二節 事例研究─衣料産業とファッション産業
三節 再統合したドイツのコーポラティズムを通じた排除
四節 結 論
第III部 空間と時間の経済
8 ポスト工業的空間
一節 サービス産業の再編
二節 再編と公共部門
三節 サービス産業と場所の再編
四節 結 論
9 時間と記憶
一節 時間の社会学
二節 時間および構造の二重性
三節 時間、権力、自然
四節 脱組織化資本主義と時間
第IV部グローバル化と近代
10 モビリティ、近代、場所
一節 旅行と近代
二節 組織化したツーリズムの出現
三節 旅行者サービス産業と脱組織化資本主義
四節 結 論
11 グローバル化とローカル化
一節 貨幣と金融
二節 自然と環境
三節 グローバルな文化とナショナルな文化
四節 結 論
12 結 論
<参考リンク>