海外研修
異文化理解研修(ニュージーランド)

体験レポート

「春の芽吹き」

メディアコミュニケーション学部こどもコミュニケーション学科 M.N.さん

私にとって、今回のニュージーランド研修が人生初の海外渡航だったのですが、渡航までの準備期間はニュージーランドへの期待でときめく日々を過ごしていました。海外渡航をするにあって一番期待していたことは、日本とは異なる文化や言語、考え方の中で2 週間過ごすことで自分自身がどれだけ変わるか、成長するかということ、価値観の変化などでした。しかし、結論からいうと、私自身が大きく成長したわけではなく、特に価値観ががらりと変わったわけでもなく、渡航前の私自身から大きなアップデートができたとは残念ながら考えにくいのです。それでは私がニュージーランドで2 週間を過ごし、何を得たのかというと「国境を越えた 人と人とのつながり」を感じることができたことでした。

毎日をワクワクしながら準備をしていたのですが、日本を出てニュージーランドという異国の地に来たという実感が湧いたのはホストファミリーが大学に迎えに来た時でした。飛行機が到着してからホストファミリーが迎えに来るまでに半日ほどの時間があり、ずっと日本人のみんなと一緒で、日本語も話すことができる環境だったということもあり、日本語が全く通じず、初めて出会うホストファミリーと同じ家に帰るということで急に異国の地に来た実感が湧き、度胸には自他ともに自身がある私も不安がどっと押し寄せ、「これから2 週間やっていけるのか」と怖気づいてしまいました。

最初の頃は、ホストファミリーと意思疎通がなかなかできず、「もっと英語力が高かったらなあ」と何度も思いました。それでもわかる単語で何とか話をつなぎ、ジェスチャーや表情など体全身を使うことによって心の距離を詰めていくことができました。言語以外のコミュニケーションツールが、国など関係なくても人と人が繋がり合える手段となることを実際に経験しました。この経験は、言葉だけでは関わりが難しい乳児期の子どもたちへの保育でも活かすことができると思います。
2週間をニュージーランドで過ごす中で、ニュージーランドでは時間の進み方がゆったりとしているように感じました。私は普段からゆっくりと時間をかけて行動することが好きなので、日本では常に焦りを感じて生活をしていたのですが、ニュージーランドでは自分らしくいられることで私自身のことがとても好きになることができました。

最初に、私は大きな成長はしていないなどと言いましたが、こうして夢のようなニュージー ランドでの2 週間を振り返ると、はっきりと感じることは難しいのですが、私の中で少しずつ変わり続けていたものがあるような気がするのです。春へと移り変わる9 月のニュージーランドで、あの温かな異国の地で、私は何か自分にとって大きなものが芽吹いたのかもしれない。それを手放すことなく育てていきたいと、私は思います。