2026.05.19

酒向浩二 教授
社会学部経営社会学科の学生が、酒向浩二教授(専門分野:国際経済学)担当の科目「日本経済入門」で、賃上げ、人手不足、労働需要・労働供給の関係について学んだうえで、「AIによって日本全体の雇用は増えるのか、減るのか」という問いについて検討しました。
授業後に実施したアンケートでは、191件の回答のうち、「AIによって日本全体の雇用は増えると思う」が51.8%、「減ると思う」が48.2%という結果となり、学生の見方がきれいに二分される形となりました。
「増える」と考えた学生からは、AIが既存の仕事を代替するだけではなく、AIの開発や運用、活用を担う新たな職種を生み出す可能性があるという意見が挙がりました。一方、「減る」と考えた学生からは、事務作業や接客、単純作業などの一部がAIやロボットによって代替され、必要な人員が減少するのではないかという声が寄せられました。
このテーマは、国の政策課題とも深く関係しています。経済産業省の「2040年の就業構造推計(改訂版)について」では、人口減少に伴い、就業者数は2022年の約6,700万人から2040年には約6,300万人へ減少すると見込まれています。その一方で、AI・ロボットの活用やリスキリングが進めば、日本全体として深刻な労働力不足は回避できる可能性も示されています。もっとも、職種ごとの偏りは大きく、事務職では約440万人の「余剰」が、AI・ロボット等利活用人材では約340万人の「不足」が生じる可能性が指摘されています。今回の学生たちの意見も、こうした社会の変化を反映した内容となっていました。
■酒向浩二教授のコメント
AIによって雇用が一方的に増える、あるいは減るというよりも、「増える仕事」と「減る仕事」が同時に生じるという視点が重要です。今回の授業から、学生がこのことを理解し、AIを単なる技術革新としてではなく、自身の就職活動や将来の働き方に直結する問題として受け止めていることが分かりました。今後は生成AIだけでなく、ロボット、自動運転、介護・物流・製造現場などで活用される「フィジカルAI」の本格導入が進むと考えています。だからこそ、まずは「AIに仕事を奪われるか」という受け身の発想にとどまらず、AIを使いこなし、社会の変化に対応していくための意識改革を持つことが肝要であると考えています。
経営社会学科の2群科目(ベーシック選択必修科目)で、日本経済を理解するための基礎知識を学ぶ授業です。経済用語を実例や図表を交えて分かりやすく解説しながら、マクロ経済学・ミクロ経済学・グローバル経済論の基礎を学びます。加えて、インフレや円安、NISA、米国経済・中国経済の影響など、時事的なテーマについても経済学の視点から考察しています。

AIで生成した画像