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2026.04.17

人間心理学科・長峯聖人講師らの共著論文が査読付き学術誌『Motivation and Emotion』に掲載

社会学部人間心理学科の長峯聖人講師(専門分野:社会心理学)らによる共著論文「How the open-door metaphor facilitates adaptive goal switching」が、Springer社が発行する査読付き学術誌『Motivation and Emotion』に掲載されました。

本論文は、目標達成の過程で1つの手段(下位目標)が失敗した際に「開かれたドア」という概念メタファーが適応的な目標の切り替えを予測するかどうかを検討したものです。

目標追求は通常、上位目標(例えば、健康の維持)とそれを達成するための複数の下位目標(例えば、食事制限)のネットワークで構成されます。特定の下位目標がうまく達成できなかった場合、上位目標そのものへの意欲も低下したり非効率的な下位目標に固執したりしやすいことがこれまでの研究から示唆されていました。

本研究では、移行や新たな機会を象徴する「開かれたドア」のメタファー(ドアが徐々に開く動画)は、特定の下位目標の達成に失敗した個人が適応的な目標へ切り替えるのを助ける認知的ツールとして機能するかを検証しました。調査は、日本のクラウドソーシングを通じて募集された成人を対象に実施され、実験室での行動測定や2週間の追跡調査を含む、計6つの研究(パイロット調査、2つの補足研究を含む5つの研究)を実施しました。

その結果、「開かれたドア」のメタファーに触れることは、特定の下位目標の失敗を経験した後でも、別の代替手段へ取り組む意欲や実際の行動を強く予測することが示唆されました。また、この理由として「開かれたドア」のメタファーは目標の切り替えを単なる「諦め(離脱)」ではなく、新しい活動への「再エンゲージメント(再結合)」としてポジティブに捉え直させる(リフレーミング)効果があり、これが後続の適応的な行動を促進することが明らかになりました。

これまで特定のメタファーが目標の切り替えという複雑な自己調節プロセスを予測することを示した研究はほとんどなく、本研究は教育、健康、キャリア形成などの実生活における困難な場面で、上位目標を諦めずに柔軟に手段を変えるための簡便な心理的介入の役割を明らかにした意義深い知見といえます。