2026.02.26
社会学部人間心理学科の長峯聖人講師(専門分野:社会心理学)らによる共著論文「Predictive Relationship Between Dispositional Nostalgia and Identity Formation Among Emerging Adults」が、Taylor & Francisが発行する『Identity』に掲載されました。
本論文は、日本人大学生を対象に、ノスタルジアがアイデンティティ形成を予測するかどうかを検討しました。ノスタルジアは過去に対する感傷的な思慕を体験する感情ですが、過去の自己を振り返るきっかけになるなど、自己概念と関連することがこれまでの研究から示唆されていました。
本研究では、自己に関する概念の中でも青年期における重要な課題であるアイデンティティ形成(自分がどのような人間であるか探求し、その自己像を確立するプロセス)に着目しました。そして、ノスタルジアを日常的に経験しやすいかがアイデンティティ形成を予測するかについて検証しました。調査は、青年期に相当する日本人大学生を対象に実施し、3か月の期間を空けた短期縦断研究の手法を用いました。
その結果、ノスタルジアの経験しやすさはアイデンティティ形成の中でも、特に「探究」(自分がどういう人間か、自分に何が適しているのかを模索する過程)を予測することが強く示唆されました。なかでも、ノスタルジアを経験しやすいことは、自己の深い側面を積極的に探求する傾向を高めるだけでなく、探究しようとしなくても探究してしまうという反芻的な探究が生じやすいことも予測する結果が示されました。
これまで特定の感情がアイデンティティ形成を予測することを示した研究はほとんどなく、本研究は、アイデンティティ形成における日常的感情の役割を明らかにした意義深い知見といえます。

長峯 聖人 講師