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2022.09.02

人間心理学科・薊理津子准教授の論文が『心理学研究』に掲載

社会学部人間心理学科の薊理津子准教授(専門分野:社会心理学)による論文『新型コロナウイルス感染症予防行動と行動基準との関連性――羞恥を媒介した検討――』が、日本心理学会が発行する学術誌『心理学研究』(93巻5号)に掲載されます。

本論文は、第1回目の緊急事態宣言下における日本人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防行動と行動基準(公共場面において配慮する他者の範囲の広さを意味する概念)および羞恥との関係性を検討しました。

第1回目の緊急事態宣言が発令された当時、海外メディアからは、日本の緊急事態宣言は「強制力も罰則もない」と指摘され、実効性が疑問視されました。そのような中、Record Chinaは2020年4月7日に、「恥の文化」である日本において、世間に迷惑をかける行動をとる人は他者から圧力を受けるので、日本人は強制力と罰則がなくとも、COVID-19予防行動をとるという記事を掲載しました。そこで、本論文は、「日本人は他者からの批判を避けるために、COVID-19予防行動を取るのか」という疑問の下、研究を実施しました。

結果、男性のみ、日本人が「恥の文化」の中で、COVID-19予防行動を取っていることが示唆されました。また、総じて、配慮する他者の範囲が狭いと、3密を回避する予防行動が抑制され、配慮する他者の範囲が広いと、マスクや消毒といった予防行動が促進されました。以上より、COVID-19 予防行動を促すためには、広い範囲の他者を気遣うよう促すことの有効性が示唆されました。

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