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研究レポート

産学共同研究のご紹介

「電動ベッドの動作による体性刺激が睡眠に及ぼす影響」に関する研究(パラマウントベッド(株))」

江戸川大学睡眠研究所・パラマウントベッド株式会社
(2019年4月から継続中)


江戸川大学睡眠研究所は、パラマウントベッド睡眠研究所と共同研究を行っています。パラマウントベッド社の電動ベッドの背上げ機能を用いて、睡眠中に体性感覚刺激を提示して、それが、入眠期におこる心像体験(比較的単純な視覚心像や聴覚心像が入眠期に生じます)にどのような影響を与えるかについて、日中の仮眠を対象にして行いました。

睡眠開始から20分経過したところで、約3秒をかけて電動ベッドの上半分を約10度の角度まで起こし、その後実験参加者を覚醒させました。その結果、背上げを行わなかった条件と比較して背上げを行った条件では、入眠時心像などの心理的体験は少なくなり、また、覚醒後の眠気も軽減されていました。さらに、背上げによって覚醒してしまった場合を除いても、入眠時心像の記憶は減少していたため、入眠時心像の減少は、背上げによって一部の実験対象者を覚醒させてしまったためだけではないと考えられました。これらの結果から、睡眠中に比較的マイルドな体性感覚刺激を与えることによって、実験参加者をスムーズに覚醒状態へと導くことができることが示されました。また、入眠時心像等の心理的体験を減少させることができることも示されました。特に後者の結果は、今後、悪夢の消去等についての技術開発においても重要な示唆を持つものであると考えられます。

この実験に続いて、夜間睡眠を対象として夢を見ている睡眠段階であるレム睡眠期に背上げを行い、その効果を見るという実験を続けて行いましたが、ちょうどCovid-19の流行と重なってしまい、データの収集が中々進みませんでした。現在、やっとレム睡眠期のデータの分析を行っているところです。また、これらの実験的研究と並行して、夢に関する調査研究も行っています。日中の仮眠を対象とした入眠時心像への背上げの影響を見た実験の結果は、Consciousness and Cognitionという国際誌に投稿して受理されています。この論文は以下のリンクから見ることが出来ます。

Does upper-body elevation affect sleepiness and memories of hypnagogic images after short daytime naps? Consciousness and Cognition Volume 80, April 2020, 102916