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国立公園研究所

国立公園写真エッセイ

中部山岳国立公園「六百山」

<撮影・執筆者の情報>

執筆者・所属先:中島 慶二教授
江戸川大学 社会学部現代社会学科/国立公園研究所 所長

登山を趣味にしている人なら誰もが知っている穂高連峰。梓川をはさんでそのすぐ近くにそびえている山なのに一般には知られていないのが六百山。霞沢岳から北につながる尾根上の山だが、より梓川に近づいているので山体が渓谷に削られてその分斜面が急である。山容は、山の名前ののんびりしたイメージとは裏腹に上から下まで急峻だ。
ちょうどこの日は雨模様、上部の尾根と沢が入り組んだ複雑な山容が雲のおかげで際立っていた。上高地公園活動ステーションからはこの山しか見えないので、景色の中で堂々主役を張っている。じっくり眺めるとなかなか味があって飽きない。穂高の近くにさえなければきっと登山者に人気の山になっていたはずだ。
登山道はないので藪をこいで急斜面を登らなくてはならず、登山道をつけるのさえ困難を伴う急峻な山だから今後も登山者は増えないだろう。残念というより、人に荒らされていない、いい山が残っている嬉しさのほうが大きい。