海外研修
海外専門研修

文化人類学・ソウル専門研修

2014 年度

海外専門研修(文化人類学・ソウル)

(学生 5 名+引率教員 1 名) 6 名

行程月/日地名時刻交通機関スケジュール
18 月 26 日(火)成田国際空港発
仁川国際空港着
13 : 55
16 : 20
大韓航空
KE0704
夜 ソウル市内 自分で歩くトレーニング
センターマークソウル泊
28 月 27 日(水)終日ソウル市内
風水都市ソウル破壊の痕跡を探る
センターマークソウル泊
38 月 28 日(木)終日ソウル市内
日韓関係の歴史を探る
センターマークソウル泊
48 月 29 日(金)仁川国際空港発
成田国際空港着
18 : 35
20 : 55
大韓航空
KE0705
夕刻までソウル市内
日韓文化を比較する
解散

大きな鍋は必需品

メニューには日本語も

ハングルを作った世宗大王像前で記念撮影

大韓航空機内の地図には「独島」

地下鉄に乗るのも一苦労

日本では消えた頭上運搬

引率教員 斗鬼 正一 教授

私たちは日本人だと思っている。確かにそうなのだが、ではなぜ日本人と思えるのかと考えてみれば、みんなが同じような顔で、身体的特徴も同じ、みんな日本語を話し、お箸でご飯を食べ、刺身を食べ、人に会えばお辞儀する、などといったことになる。要するに身体的特徴と、文化を共有しているからみんな同じ日本人、というわけだ。
実はこれは韓国でも同じで、みんなが同じような顔で、身体的特徴も同じ、みんな韓国語を話し、キムチを食べ、要するに身体的特徴と文化を共有している。
ところで、日本人はみな同じ顔、身体的特徴というけれど、そういえば日本人と韓国人も同じ顔、同じ身体的特徴だ。さらには、日本文化を共有するから日本人、朝鮮半島の文化を共有するから韓国人とはいうものの、歴史的経緯を見れば当然ながら、日韓の文化は、実によく似ている。
韓国人もお箸でご飯を食べ、刺身を食べ、人に会えばお辞儀する。街の風景だってそっくりだ。ハングルだと韓国語はまったく異質の言語としか思えないけれど、実は単語は日韓共通のものがたくさんあるし、文法もそっくりだし、何より元々どちらも漢字文化圏だ。
要するに似たものどうし。ということになると、互いに親近感を持つのが普通だし、実際歴史上長きにわたってそうだった。
ところが特に近代以降、それが怪しくなってきた。怪しいどころか、日本人は朝鮮半島の人々を差別的な目で見てきたし、近年は「嫌韓」があたかも当然であるかのように語られ、ヘイトスピーチを声高に叫ぶ人々もいる。先方もまた「日帝強占」を恨み、反日を叫ぶ人々がいる。こうした不幸な状況はいったいどうしたことなのだろう。
どの民族にとっても、民族としてのアイデンティティーを確認し、維持していくことはすごく重要だが、そもそも民族とは文化を共有することによって作り出されるものだから、どの民族も、自分たちが文化を共有していることを確認しようとする。それ自体はきわめて当然のことだし、格段の問題を引き起こすわけでもない。
ところがさらに、人という動物がものごとを認識するには、比較することもまたきわめて重要だから、どの民族も自分たちのアイデンティティーを確認するために、他の文化との違いを明確にしたがるのだが、実際は、伝播により相互に影響しあってきているから、完璧に異なるなどということはありえない。するとこの境界線を明確化しようとし、境界線上の人々、文化を排除しようとする。これが排除、差別、対立といった問題を引き起こすというわけだ。
日韓の場合もまさにこれなのだが、とりわけ厄介なのは、文化があまりに似ていることに加えて、身体的特徴に関しても境界線がほぼ無いことだ。つまり互いの間の境界線があまりに不明確なのだ。自分たちのアイデンティティーを確認する上でこんなに不都合なことはない。だから何かというと排除、対立、そして差別という問題が引き起こされる。まさに近親憎悪状態なのだ。
無論日韓の文化は同じではない。違うところはすごく違う。しかし韓流ブーム以前には、そもそも相互の文化を知り、理解する機会が少なく、嫌韓、反日ブームの現在は、知る、理解する以前に、感情的な嫌悪感が広がってしまった。
でも、どんなに嫌だろうと、地理的、歴史的近接性を考えれば、似ているのは、境界が曖昧なのは当然の事実だ。本来そういう間柄なのだ。だったら、近親憎悪より親近感。その方がお互いに幸せだ。
そう考えれば、韓国と聞いただけで「嫌い」という反応しか出てこない場合も多い大学生を、敢えて、このあまりに近い国にまずは連れて行くこと、そしてあまりに似ているという事実を知らせること、それ自体がすごく意味があることといえるだろう。