毎年春休みの2月末頃、顧問である内藤和明先生の専門ゼミナールでは新学期から正式に内藤ゼミを履修する新ゼミ生(春休みの時点では2年生)を対象に台湾ロケ実習を行っています。
映像放送研究部の活動では無いものの、この実習には映研1年生部員の参加希望者も若干名ではありますが、同行することができます。参加することが決定した1年生はその時点から内藤先生や内藤ゼミ4年生の指導のもと台北のリサーチを開始し、ロケ台本を作成した上で1年生制作チームとして実際にロケに参加します。

ロケの目的


海外ロケ実習では、その国独自の文化への見識を広めると同時に、言葉が通じない地での撮影を通して制作に必要なチームワークの重要性を体感し、「言葉」が重要なコミュニケーションツールであることを身を持って実感する機会を得ることができます。
さらに、思い描いた通りの映像を撮ることの難しさに直面することによって、映像作りの奥深さを実感し、多くの失敗や挫折を経験するからこそ学び取れることが数多くあるという事実を知る良い機会となります。
この実習では参加した全員が一丸となって問題点の洗い出しや対処方法を考え、成功を目指して様々な工夫と努力を重ねます。映像制作の奥深さと、己の身の丈を知り、協力しあうことの重要性を体験してもらうことが台湾ロケ実習の狙いでもあります。

現地コーディネーターと卒業生の絆


このロケ実習では、在京キー局で最も高い評価を得ているロケコーディネーション会社「IDEA COORDINATION」に毎回ロケコーディネートをお願いしています。同社社長の廖金明(リョウ キンメイ)さんと内藤先生は海外取材番組を通して25年以上の長い付き合いがあり、ロケ実習参加者は、ロケはもちろん、ロケ以外でもリョウさんやIDEAのスタッフさんと大変良好な関係が続いています。
プロのディレクターが海外ロケを成功させるためには腕の良い優秀なロケコーディネーターが絶対に必要になります。故に信頼できる海外ロケコーディネーターはディレクターの財産となるため、業界のディレクターやプロデューサー同士で懇意にしているコーディネーターを紹介し合うこと殆どありません。そのため早いうちから一人でも多くの優秀なコーディネーターと知り合うことが将来大きな財産となります。台湾は比較的在京キー局の取材が多いため、将来の業界人を目指す学生諸君にとってIDEAの廖社長と交流できるのもこのロケ実習の大きな魅力となっています。

我々の先輩である映像放送研究部OGで内藤ゼミ4期生の行澤愛美先輩(CNインターボイス所属 日テレ系「所さんの目がテン!」取材D)も学生時代の繋がりから今回番組のロケコーディネーションをIDEAにお願いし、以前お世話になったご恩返しを果たすことができました。リョウさんも内藤ゼミの卒業生は自分の子供のようなものと大変喜ばれたそうです。そのリョウさんから内藤先生にメッセージが届いたのでご紹介します。

「先月卒業生の行澤君が台湾ロケに来ました。スタッフの人数が多い中、行澤君は撮影現場にも慣れていて、学生時代の台湾ロケ実習の経験もプラスになっており非常に良かったと思います。将来、更に沢山の内藤ゼミ生と会えることを楽しみにしています。」IDEA 廖 金明

台湾ロケ実習の意義

番組制作はこのように人との繋がりと協力、信頼があってこそ成し遂げられるものであり、決して一人で作るものではありません。このように、学生時代から人脈を広げ、さらに異文化の中で体験する様々な失敗から成功の道を模索する能力を身に付けることも台湾ロケ実習の大きな目的です。
また、ロケ以外にも、感性を養うために世界一美味しい小龍包をいただける「鼎泰豐」で一流の味を体験し、宮崎駿氏が「千と千尋の神隠し」の情景のインスピレーションを得たと言われている九份を探訪します。