自然保護ゼミでは国立公園での調査を実施。自然観察や公園の管理について学ぶ。(写真は富士箱根伊豆国立公園に勤務する、卒業生の加藤和紀さん)

環境学ゼミナール

人・社会と自然環境の関わり方、共生方法を探る。
社会・経済と関連するグローバルな環境問題の解決や環境共生型の地域づくりに向けた学びを深めます。


地球環境にまつわる問題は、さまざまな視点から指摘されています。たとえば私たちの都市における生物多様性の保全、プラスチックごみや食品ロスの削減といった身近な課題から、気候変動による自然災害への対策、SDGsの達成など世界的な取り組みが必要とされているものも。問題の多さに加え、いくつもの要因が絡み合って、その解決をさらに難しくしています。
本ゼミナールではこうした多様な問題について理解を深め、解決に向けた創造力、持続可能な社会・地域づくりに関する企画立案能力の向上を図ります。SDGsのいくつかのトピックスに関するディスカッションや、フェアトレードなどをテーマとしたワークショップは、実社会で求められる対話能力を磨く場ともなるでしょう。さらに、エコツーリズムへの参加、他大学や自治体と連携した調査、環境保全に取り組むNGOなどでのインターンシップの実施といった、学外での活動機会も充実しています。

佐藤 秀樹 先生
毎日、大量に排出されるごみや化石燃料の使用による二酸化炭素の増加に象徴される環境問題は、私たちの日常生活と密接な関わりを持っています。環境問題の解決に当っては、「政策」、「技術」と「教育」の3つのアプローチが重要です。その中で、環境配慮行動を促すための環境教育の考え方、アプローチ方法およびその具体的な取組みについて考えることは、とても重要です。

自然保護ゼミナール

毎日の暮らしとつながる、地球規模の課題に挑む。
自然の絶景や希少な生物、風土や気候、生物多様性を守り、生かすための方法を学び、考えます。


国立公園、鳥獣保護区、世界自然遺産、ラムサール条約登録湿地、世界ジオパーク、ナショナルトラスト、サンクチュアリ……これらは「保護地域」と呼ばれ、自然環境や希少生物の保護などを目的に、さまざまなかたちで指定されたものです。本ゼミナールではこうした保護地域が持つ価値や意味、あるいは観光化による問題などについて理解を深めます。フィールドワークでは主に野外活動を行い、エコツーリズムや代表的な保護地域である国立公園の管理運営について、体験的に学びます。
また大きな社会問題になりつつある外来生物による被害、シカやイノシシ、クマなど大型鳥獣の分布拡大と個体数の急増、絶滅危惧種の問題など、人間の営みによって変わりつつある動物と人間の関係性についても正しく理解し、解決の糸口を見つけるための学びに取り組みます。視野を地球規模へと広げ、自然保護と活用の方法を考えていきましょう。

中島 慶二 先生
「事件は現場で起きて」います。法律や制度や予算、すべては現場の問題を解決するためにあるといっても良いでしょう。現場で課題をとことん突き詰め、方針を打ち立て、関係者の説得に力を尽くすこと、そうして得られた現場の改善などの成果や経験は他に代えがたいものがあります。「現場に始まって現場に終わる。」です。

Student Interview

環境や社会の問題を多角的に考え
その解決方法を研究するおもしろさ。


卒業研究で取り上げたのは「フード・デザート(食の砂漠化)」。貧困や自然・居住環境によって社会的弱者となった人たちが充分な「食」を得られないという現象は、日本でも起きている社会問題のひとつです。「人間と環境」を多角的に捉える、ゼミでのディスカッションで出会えたテーマでした。またSDGsについて理解を深めたことで、子どもたちに分かりやすく伝える方法や、自分の学修を環境教育につなげることも考えるようになりました。

フィールドワークが、自然環境への
興味を広げるきっかけに。


2年次の秋に参加した日光でのフィールドワークでは、自然保護に携わる国立公園のスタッフによるガイドを受けながら、一日中トレッキング。木の幹に残された爪の跡やフンなどを手がかりに野生動物の生態について学び、自然観察を行いました。以前はどちらかというと「インドア派」でしたが、国立公園や環境保全について学びフィールドワークに取り組むうちに、「現場」を訪れ、自然の中に身を置くことのおもしろさを知りました。